入浴・癒し・交流の場 銭湯再発見!~金龍湯編~

2024/2/9

♨辰年にはぴったりの銭湯!

北大路大宮交差点からすぐ。北大路通の一筋北側の細い道沿いに、「金龍湯」があります。大徳寺のすぐ近くですが、住宅街であり生活色の濃いエリアです。前回もご紹介したとおり、ここは京都でも有数の銭湯密集地。「金龍湯」の徒歩圏内にも数軒の銭湯があります。

そんな中でも今回は、辰年にぴったりの「金龍湯」をご紹介します。

(大徳寺のすぐ近くに位置します)

カラフルな「ゆ」の暖簾が目印の「金龍湯」。近年はデジタルの看板などが普及していますが、昔ながらの暖簾は存在感がありますね。早速、そんな銭湯定番の「ゆ」の暖簾をくぐってみましょう。

「いらっしゃい」と声を掛けてくれる番台さんに手渡しで料金を支払うと、自分だけの「銭湯時間」が始まります!

(レトロな木札のロッカー)
(貸しタオルやシャンプーの販売もあるので、手ぶらでもOK)

♨浴槽配置!

浴室に入るとまず、脱衣所にせり出す形のサウナがあります。レトロな文字で書かれた「サウナ」の看板が目印。狭い入口を入るとサウナ空間です。定員は4人ほど。

サウナの反対側には水風呂があり、こちらは銭湯定番のライオンの口から水が注がれています!

京都の銭湯は男女を仕切る壁沿いにお風呂があることが多いのですが、「金龍湯」の浴槽は浴室中央にあります。高くて広い天井を眺めながら、浴槽に浸かると、まるでステージの中央にいるような気分に。浴槽は中央の浅いお風呂と深いお風呂のほか、奥には薬湯、その反対側には壁をくり抜いたような形で電気風呂があります。こちらの電気風呂は、かなり強力ですよ!

(舞台のように中央に位置するお風呂)
(浴槽の両側にカランが並びます)
(深いお風呂はジェットバスになっています)
(ゆったり過ごせるサウナ)
(銭湯名物のライオンの蛇口)

♨目を引くタイル画!

注目は、浴室奥に広がるタイル画。中央の壁で仕切られているため、全体を見ることはできませんが、こちらはよくある日本の風景ではなく、外国の風景のようです。

こちらのタイル画はこの銭湯が開業した当時(戦前)に描かれたもの。しかしながら、間近で見ると、まるで最近描かれたような繊細さがあります。銭湯文化財にしても良いレベルで、これはもう「美術品」と言ってもよいのでは。

(男湯のタイル画)
(女湯のタイル画)
(繊細さに圧倒されます)

♨昔から変わらぬ「金龍湯」の役目!

「金龍湯」を経営している浅村靖彦さんに話を聞きました。

「金龍湯」は戦前には創業していたようです。浅村さんが高校生の時に一家で石川県から京都に引っ越し、当時売りに出ていたこの建物を一家が引き取り、銭湯営業を開始しました。それが昭和25年頃。前経営者の時にはもう「金龍湯」という名前だったそうです。

建物は創業時のままで、修繕を繰り返し、営業を続けています。

銭湯密集地にある「金龍湯」ですが、常連のお客さんもたくさんおられます。近年は修繕費や燃料費の高騰などで銭湯には明るい話題は多くありません。それでも常連のお客さんから「やめないでくれ」とよく言われるとのこと。

(昔懐かしいドライヤー)

「元気な人の共通点はよくしゃべること。常連の皆さんは、ここの銭湯でしゃべることが一日の楽しみ」だと浅村さんは言います。長年、番台でお客さんを見てきた浅村さんだからこそ分かる人間模様ですね。

♨新たな変化も!

そんな「金龍湯」にも最近変化が!

「若いお客さんが増えてきた」と浅村さん。

最近は銭湯やサウナも人気があり、お風呂やサウナに入ることで体や精神をリラックスさせる「ととのう」こともブームになっています。若いお客さんが増えているのも、銭湯がそのニーズに応えているということでしょう。

(レトロかわいい傘立て)

辰年である今年はぜひ、「金龍湯」を訪れてみませんか。

(「金龍湯」の浅村靖彦さん)