自家焙煎の珈琲豆を求めて築100年の町家へ

2021/10/8

サーカスコーヒー外観
(北山通と大宮通の交差点北西角にある)

先日、船岡山からぶらりと歩いて「CIRCUS COFFEE」さんを訪ねました。北山大宮の趣ある町家のお店で、自家焙煎の珈琲豆を販売されています。お店の周囲に漂う、ほんのりと甘さを感じる芳しい香りに引き寄せられるように暖簾をくぐりました。

サーカスコーヒースタッフ
(左から、平井 ももさん、渡邉 良則さん、渡邉 文さん)

こちらのお店、焙煎のスペシャリストである渡邉さんがご夫婦で営んでおられます。焙煎工場での品質管理やカフェの経営など、以前から珈琲にまつわるお仕事に携わってこられた渡邉さん。地元である京都への帰省時、売りに出されていた築90年(当時)の町家と出会ったのを機に、「珈琲豆の魅力を伝えたい」と満を持して珈琲豆専門店を開くことになったのだそうです。元は日本茶販売店だった町家の雰囲気を最大限に生かしつつ、棚や壁、扉に色を塗るなどしてリノベーション。大正時代の建物と、ロゴやパッケージなど奥様によるデザインが仲良く調和していて、唯一無二の絵になる空間です。

サーカスコーヒー商品
(コーヒー器具類やオリジナルトートなども)

店内に据えたヴィンテージのドイツ製焙煎機は70年の時を経てもなお良質で、豆の芯から火が通り、力づよい味わいに仕上げてくれるのだとか。「珈琲豆は農作物。そこに焙煎する人や火加減による違いがあわさって、同じ豆でも異なる個性の味に仕上がるんですよ」という渡邉さんのお話に、珈琲の奥深さをあらためて感じました。

サーカスコーヒー焙煎機
(ウインクしているみたい!焙煎機のデザインにも注目)
サーカスコーヒー焙煎機
(こまめに焙煎することでいつでも新鮮な豆を販売)

この日は、珈琲豆と3種がセットになった手軽なドリップパックを購入することに。ご夫妻に好みの風味を伝えたら、それなら、と中深煎りの季節限定「秋は夕暮れ」という銘の珈琲豆を案内してくださいました。茜色に染まる秋の空を思いながら至福の珈琲タイムが過ごせそう。

サーカスコーヒードリップカフェ
(「ドリップカフェ3個セット」583円)
サーカスコーヒー珈琲缶
(オリジナルの珈琲缶も人気)

帰り際、船岡山界隈についてのお話を伺ってみることに。この界隈の出身であるご主人にとっては、幼い頃から親しんできた場所。「このあたりは、観光地化されていない、落ち着いた魅力がありますね。知られてほしいけど、知られてほしくない(笑)。船岡山から大徳寺を抜けて今宮神社へのルートが好きです。そうそう、あぶり餅もね!」。ご夫妻が口をそろえて語ってくださいました。

店名のサーカスとは「集う」とか「集まる」を意味し、みんなが笑顔になるきっかけをとの思いを込めているのだそう。香り高い珈琲豆はもちろんのこと、町家の空間、店内のディスプレイ、そして何よりも渡邉さんご夫妻のあたたかな笑顔が素敵。珈琲を口にした瞬間のように、ホッと心がほどけたのでした。

CIRCUS COFFEE(サーカスコーヒー)
電 075-406-1920
営 10:00~18:00
休 月・日曜、祝日
所 北区紫竹下緑町32
交 市バス停「下緑町」から徒歩1分
P なし
サーカスコーヒー ホームページ