北方守護の神「玄武」が宿る、京都始まりの地・船岡山。四季折々の自然や眺望、ふもとに点在する神社仏閣、史跡、お店も魅力的ですが、船岡山エリアを囲む“通り”に注目してみれば、散策の楽しみも倍増します。この連載では、時代と人と物語が交錯し、千年の都を織り上げた“通り”をフィーチャー。
第6回目は、「大宮通」をご紹介します。
西陣のまちの中心的な通りであり、京都市で一番長い商店街もある「大宮通」
大宮通は、北は御薗橋通からはじまり、南は東寺を越えてさらに久世橋通のあたりまで伸びる10㎞ほどの通りです。
織物のまちである「西陣」の中心的な通りで、現在でも趣のある京町家が多く残っています。ゆるりと通りを散歩していると、「カタンカタン……」と、どこからともなく機織りの音が聞こえてくることも。
そんな昔ながらの面影が残る大宮通ですが、「船岡山エリアの大宮通」といえば、外せないのが新大宮商店街です。
新大宮商店街は、北は北山通、南は北大路通までの約1㎞も続く商店街です。京都市内で一番長い商店街としても知られ、ハロウィンや夏祭りなど季節ごとのイベントが人気です。
昔ながらの八百屋さんや和菓子屋さんなどが並ぶ一方で、近年では、おしゃれな雑貨屋さんやカフェ、スイーツのお店なども増えてきています。なかには、全国からファンが足を運ぶ飲食店も!
お買い物をしながらゆるりと散策をしたり、カフェでひと息ついたり……とさまざまな楽しみ方ができますよ。
新大宮商店街を南に進めば、清和天皇をおまつりする若宮神社や、「玄武やすらい祭」を執り行う玄武神社が鎮座します。
「玄武やすらい祭」は、毎年4月の第2日曜日に行われるお祭りで、今からおよそ1,000年以上も前の平安時代にはじまったと伝わります。春の花が散るころに流行る疫病を鎮めるための祭礼で、お祭りの行列の花傘に入ると、無病息災のご利益があるといわれていますよ。
また、「玄武」とは守護四神(玄武、青龍、朱雀、白虎)のひとつで、北の鎮護神を意味しています。実は、平安京の場所を選定する際、桓武天皇は風水の思想「四神相応」にもとづいて遷都を決めたといわれますが、北の玄武が宿るとされたのが船岡山であったのだとか。
玄武神社におまいりしたあとは、船岡山から京のまちなみを眺めつつ、桓武天皇の時代を想像してみるのもよいかもしれません。
大宮通のおすすめ立ち寄りスポット
その1:【新大宮商店街】
千利休ゆかりの大徳寺や素盞嗚尊(すさのおのみこと)をお祀りする今宮神社がある紫野エリア。大徳寺や今宮神社のお参りとともに、新大宮商店街をぶらりと散策し、ゆっくりとお買い物を楽しんでみませんか。通りの左右にお店がずらりと並ぶ新大宮商店街は、「おいしいもの好き」にはたまらない商店街ですよ。
新大宮商店街のご紹介記事はこちらから→
その2:【門前湯】
新大宮商店街の中にある銭湯。門前湯は、15時に開店してから、なんと深夜2時までオープンしている、京都市内でも数軒しかない貴重な深夜営業の銭湯です。石川県輪島出身の吉本さんがご家族で切り盛りされており、番台ではやさしい笑顔で迎えてくれます。学生から年配の方にまで愛されています。
門前湯のご紹介記事はこちらから→
その3:【CIRCUS COFFEE】
北山大宮の趣ある京町家のお店で、自家焙煎の珈琲豆を販売しているサーカスコーヒー。焙煎のスペシャリストである渡邉さんがご夫婦で営んでおられ、日本茶販売店だった町家の雰囲気を最大限に生かしつつ、棚や壁、扉に色を塗るなどしてリノベーション。大正時代の建物と、ロゴやパッケージなど奥様によるデザインが仲良く調和しています。