連載『船岡山 通りさんぽ』第5回「鞍馬口通」

2024/11/20

北方守護の神「玄武」が宿る、京都始まりの地・船岡山。四季折々の自然や眺望、ふもとに点在する神社仏閣、史跡、お店も魅力的ですが、船岡山エリアを囲む“通り”に注目してみれば、散策の楽しみも倍増します。この連載では、時代と人と物語が交錯し、千年の都を織り上げた“通り”をフィーチャー。
第5回目は、「鞍馬口通」をご紹介します。

レトロな雰囲気のショップが点在!懐かしさと新しさがうまく溶け込む「鞍馬口通」

鞍馬口通は、京都のまちを東西に3㎞ほど続く通りです。

東は賀茂川に掛かる出雲路橋あたりからはじまり、西に向かって進めば、多くの観光客でにぎわう世界遺産・金閣寺へとたどり着きます。

「鞍馬口」はその昔、京の都とほかの国を結ぶ出入り口である「京の七口」のひとつでした。多くの旅人が、この鞍馬口を通って京の都と諸国を行き来したのです。

(大徳寺の南側あたりは、鞍馬口通の中でも特におしゃれなお店が集まるエリア)

堀川鞍馬口のあたりから西は、織物のまちで知られる「西陣エリア」となり、現在でも時折、「カタンカタン……」と機織りの音が聞こえてきます。昔ながらの京町家も多く残り、この地域ならではの暮らしの文化を感じながら散策することができますよ。

現在では西陣織のまちとして知られる「西陣エリア」ですが、さらに歴史をさかのぼると「応仁の乱」の激戦地でもありました。西陣との地名は、山名宗全が率いた西軍がこのあたり一帯を陣地にしたことに由来します。ちょうど鞍馬口通の北側に位置する船岡山には、西陣が城砦を築いたとも伝わっていますよ。

(レトロな雰囲気のお店が建ち並ぶ)

鞍馬口通には、昔ながらの暮らしに根付いた、おばんざい屋さんや自転車屋さん、喫茶店などが建ち並びます。お店の方と地元の常連さんが楽しげに会話をしている場面もよく見られ、どこか懐かしいほっと落ち着くような魅力があります。

一方で、近年では、おしゃれなカフェやギャラリー、ショップなども増えてきています。元々は銭湯だった建物や歴史ある京町家を改装するなど、いずれもまちの雰囲気に溶け込むような趣のある空間であることが印象的です。

(昔ながらのお店も人気を集める)

歴史めぐりをしてみたり、ギャラリーでアートな体験をしたり、カフェでひと息ついたり……と、さまざまな楽しみ方ができるのが鞍馬口通の魅力。ひと足のばして、船岡山に立ち寄って、京都のまちを一望するというのもおすすめですよ。

(建勲神社へと繋がる南参道)

そんな風に通りを西へ進んでいけば、あっという間に金閣寺までたどり着きます。通りの歴史や文化を感じながら、散策を楽しんでみてはいかがですか?

鞍馬口通のおすすめ立ち寄りスポット

その1:【藤森寮】

画像:【ものづくりの舞台・藤森寮で、ゆるりとガラス細工作りを体験(前編)】より

北棟と南棟の2つの京町家が中庭で繋がる藤森寮。その名の通り、元々は学生寮であった2つの京町家は北棟・南棟と呼ばれ、アトリエやギャラリー、ショップなど、9つの空間が広がる「ものづくりの舞台」へと生まれ変わりました。彫金体験やガラス作品の体験など、気軽に参加できるアトリエもあるので、アートな体験をしてみてはいかが。

藤森寮のご紹介記事はこちらから→

その2:【さらさ西陣】

築90年の銭湯「旧藤の森温泉」をリノベーションしたカフェ。お店に入ると目に飛び込んでくるのは、鮮やかな色をしたタイル!飾りとしておいてある置物や、天井の高いお店の造りなどに銭湯の面影が感じられる空間です。一番人気の「キャロットケーキ」を味わいながらゆっくり過ごしてみるのもおすすめです。

さらさ西陣のご紹介記事はこちらから→

その3:【自家焙煎珈琲 ガロ】

「自家焙煎珈琲 ガロ」は、超希少豆、スペシャルティ珈琲(プレミアム珈琲)を扱う自家焙煎珈琲専門店です。1977年に京都北山で開業し、2004年に現在の船岡山エリアに移転しました。店内では、サイフォンで淹れたとっておきの珈琲を味わうことができますよ。自分好みの一杯との出会いを楽しんでみてください。

自家焙煎珈琲 ガロのご紹介記事はこちらから→